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村山順次郎
 
トピック

公立保育園全園廃園計画は撤回を

児童推計は正確か?
しんかわ保育園募集停止は中止を
2017年9月27日

東久留米市議会は26日で第3回定例会を終えました。保護者や市民の思いがこもった「公立保育園の全園民間化計画の撤回及び公立保育園の存続を求める請願」と「他自治体でも例のない公立保育園全園廃園計画を見直し、これ以上公立保育園を減らさないことを求める請願」は共産党市議団、市民自治フォーラム、社民党が賛成しましたが、賛成少数でいずれも不採択となりました。保育の待機児童の現状は決して楽観できる状況ではない中、40数年にわたって地域の子育て支援の中核的役割を果たし、この瞬間にも貴重な保育を実践している東久留米の公立保育園をすべて廃園しようとする並木市政の姿勢があらためて問われています。

■ 東久留米の待機児童の現状

認可保育園に入りたくても入れない保育の待機児童の課題は、全国的な課題であると同時に東久留米市にとっても喫緊の課題となっています。今年4月にも小規模保育所の増設など保育の待機児解消策がとられていますが、4月1日時点で67人が保育の待機児童となっています。いわゆる旧定義では134人。また、8月1日時点の新定義による保育の待機児童は0歳児35人、1歳児37人、2歳児19人、3歳児13人、4歳児と5歳児は0人で合計は104人となり、4月1日時点から37人の増です。

保育園を必要とする保護者のみなさんの苦労は深刻なものとなっています。「待機児童を考える会in東久留米」が2017年2月にとりまとめたアンケートでは、「育休を1年以上とらず、切り上げて0歳児クラスに申し込んだ」「入所できず、保育料の高い認証に預けた」などとの声とともに、「本当はもう1人欲しいのですが、現状を見ると育休後もしくは産後すぐとなり、預け先が見つかるかとても不安があり、とてもでないけれど、産めないと思っている」などの声もあり、保育園が足りないことが出産・育児を躊躇させる大きな原因となっていることがわかります。

■ 子どもの数は?

市の担当部は8月1日、子ども子育て会議に「子ども・子育て支援事業計画に関する中間年の見直しついて(以下中間年の見直しについてと省略します)」として、就学前人口の児童数の推計、支給認定割合および補正後の量の見込み(つまり、保育の待機児童数の見込み)をそれぞれ示しました。それによれば、2018年と2019年にかけて就学前人口は減少し、保育園を必要とする児童の割合は増加するものの、保育サービスの量の見込みは保育所などの予定定員を下回る推計となるとしています。つまり、2018年4月と2019年4月の時点で保育の待機児童はゼロになると推計したということです。

東久留米市では、課税対象となる建物の棟数および床面積も近年堅調な伸びを見せています。宅地開発指導事業の申請件数も2014年度に29件、2015年度に35件、2016年度に42件と増加傾向です。これらは1件あたりの世帯数はまちまちですが、少なくとも5件以上の宅地開発をする場合には申請する義務があるものです。

市内の各地では、農地などであったところが宅地として造成され分譲されている状況が散見されます。東京都は19日、基準地価を公表しました。多摩地域の住宅地は0.7%の上昇で、東久留米市は1.0%の上昇となり、多摩平均を上回っています。

市内の東部地域では新座市につながる都市計画道路の開通と再開発で人口増とそれに伴う保育ニーズの増加が見込まれます。上の原地域のUR団地の再開発で、商業施設が誘致され、住宅開発も進められています。

これらのことからオリンピックなどの影響もあり、東久留米市における住宅地に対するニーズは上昇する傾向にあることが伺えます。市議会厚生委員会の質疑では、就学前人口の児童数の推計について、2018年と2019年に東久留米の就学前人口は減少していくとしています。直近の2016年から2017年にわたって減少したことから、2019年まで減少していくと推計したものです。市の担当部は、大きなマンションの造成などが見込まれないことから社会増減による補正は行なっていないとしています。しかし、これは妥当なものと言えるのでしょうか。

■ 幼稚園と保育園で100%?

保育園を必要とする児童を推計する場合、0歳から5歳までの就学前児童が幼稚園、保育園、認定子ども園それぞれどの程度の割合で通うことになるのかが問題になります。子ども子育て支援新制度においてはこの割合を「支給認定割合」と言います。

前述の「中間年の見直しについて」で2019年度において3歳から5歳が対象となる幼稚園に通う児童(1号認定)と保育園に通う児童(2号認定)の割合の合計が100%となっています。確かに年々幼稚園にも保育園にも通わない児童は少なくなってきています。しかし、少なくともわかくさ学園に通う児童とわかくさ学園発達相談室に通う児童はこの1号認定にも2号認定にも含まれません。東久留米市に住んでいる3歳から5歳の児童のすべてが、幼稚園か保育園に通う様になることなど想定できません。「中間年の見直しについて」における推計が、国の手引きに従った機械的なものである印象は拭えず、慎重な再検討および見直しが必要です。

■ 来年にも認可保育園のオープンするが・・・

来年4月には中央町2丁目に新しい認可保育園がオープンする予定となっています。未利用となっていた都有地に民間の認可保育園を誘致する計画で、一定の保育の定員枠拡大が期待されます。市担当部と事業者の努力によるもので、貴重な成果となりつつあります。しかし、この認可保育園の概要を見ると新しい認可保育園の設置の難しさを改めて痛感させられます。園舎は園庭を取り囲む様にロの字型になっており、傾斜を利用して半分地下に掘り下げる形で建てられ、周辺環境との調和のために配慮に配慮を重ねた形にとなっています。その他にも、新川町1丁目に72名定員による認可保育園の設置が来年10月に見込まれることが市議会に報告されました。

一方で、昨年には本町1丁目で認可保育園の誘致計画が中止になりました。来年4月にオープン予定であった市内の幼稚園施設を活用した認可保育園の計画は延期となっています。

民間の認可保育所の設置には様々な不確定要素があり、担当課や事業者の努力にかかわらず、予定通り保育施設がオープンできないことが起こりうることは全国的な報道の事例や本市における事例からも明らかです。

保育の待機児童が減少し、新しい保育施設の整備が進むと、新たな需要が喚起される傾向があります。先に紹介したアンケート等から保育園が足りないために出産・育児が抑制されている状況があるとすれば、いったん待機児童が4月1日時点でゼロかまた大きく減る状況が生じたとしても、市内の保育を必要とする児童の数がその年の水準で推移するとは言えないと考えます。

並木克巳市長は2018年4月と2019年4月に保育園を必要とする児童よりも保育園の定員が上回る見込みであることを根拠に、2018年12月に公表される保育の募集定員には市立しんかわ保育園の0歳児募集は盛り込まず、同園で受け入れいる9名の0歳児募集を停止し、在園児が全て卒園する2023年度末には同園の廃園を強行しようとしています。

これらの推計で保育の待機児童がゼロになると見込むのは、あくまで4月1日時点に過ぎません。年度途中には0歳児と1歳児を中心に保育の待機児童が生じることは確実です。東久留米市における保育の待機児童に関する不確定な状況から、同園の0歳児募集を2019年4月から停止することに道理はありません。私はこの見直しをこれからも求めていきます。

■ 公立保育園の大切な役割

市内の公立保育園は様々な形で地域活動事業を実施しています。また、園庭を持たない私立の認可保育所や小規模保育所および家庭的保育施設に対して運動会のために園庭を貸し出したり、様々な交流イベントを持っている様子も厚生委員会の質疑の中で示されました。特に市立さいわい保育園と東久留米おひさま保育園との行事の合同開催などの取り組みは意義のあることです。

これらの取り組みは公立保育園が40数年の歴史の中でそれぞれの地域の中でえいえいと継続してきたものであり、地域の子育て支援機能としての本領というべきものです。並木克巳市長が進める公立保育園の全園民間化はこれらの取り組みを評価せず、無にきそうとするものであり、容認できません。

■ パブリックコメントすらせず

並木克巳市長は2016年3月、「保育サービスの施設整備・運営及び提供体制に関する実施計画(以下、実施計画)」を公表して、東久留米の公立保育園全てを廃園するという考え方を示しました。市長はこの実施計画をつくるにあたって、市民参加の協議もせず、市民説明会も行わず、パブリックコメントさえ実施しませんでした。

今回の市議会定例会では、8月に改訂された実施計画について市民説明会及びパブリックコメントをしないのかと、市の見解を質しました。しかし、いずれも前向きな答弁はありませんでした。市長は「まずは(しんかわ保育園の)関係者の皆様に説明を」と答弁しました。すべての公立保育園にかかわる実施計画を示しておきながら、最初の対象園であるしんかわ保育園への説明を口実に市民に意見を聞く姿勢を持たないことにこの問題に対する市長の態度があらわれています。実施計画による公立保育園の全園民間化はただちに撤回するべきです。

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